画になる小説の話。
ふと目が覚めると早朝5時過ぎで。 ついさっきまでみていた、どたばたと慌ただしい夢について思い出していると。 なんだか急に、頭の中に何かのドラマの少し怖いシーンが浮かんで消えなくなった。 怖くて二度寝できそうにない。 何のドラマだったかとしばらく思考を巡らせていた。 俳優さんの顔も思い出せない。 なのに、小さな女の子の赤いランドセルだとか、そういう細かな画や画面全体の構図なんかが鮮やかに浮かぶ。 そこで、はたと気づいた。 ドラマではない。 小説だ、と。 伊坂幸太郎さんの『死神の浮力』。 これだ。 ちょうど一年程前に読んだだろうか。 こんなに明確に映像として記憶されていることに驚いた。 伊坂さんの文章は描写がくどいような印象は全くなく。 むしろすっきりしているイメージなのに。 これだけ綺麗に読者の(少なくとも私の)頭の中に場面を描ける、ものすごい力を持った文章なのだと。 初めて気づいた。 そんな明け方の不思議な体験。